こんにちは!お寺ジェンヌです。
新型ウイルス感染症の影響で、この3年間
葬儀や法要を関係者のみですることが多かったです。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類になったことから
お通夜、葬儀、法要に出かける機会も増えてくると思います。
仏式のお通夜、葬儀、法要と言えばお焼香がつきものです。
しかし、お焼香の列に並んで「どうやればいいんだっけ?」と
前の方のやり方を見ていたというご経験のある方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今日は寺嫁である私、お寺ジェンヌがお焼香について解説します。
焼香のやり方は?
仏事につきものの「焼香(しょうこう)」
やり方について迷ったことはありませんか?
お葬式を出す場合、お経が始まると喪主さん、ご遺族が一番最初にお焼香をされます。
ご遺族にはあらかじめ、葬儀会社の方がお焼香の仕方を教えていらっしゃる場面を見かけます。
だから、ご遺族の方は教えられたとおりにお焼香をしてください。
困るのは、それ以外の方ですよね。
私も、独身のころはまだお寺とは無関係でお焼香をしたことがなかったので
親戚のお葬式でキョロキョロしていたことがあります。
お焼香のやり方は宗派によって異なります。
そのため、ご自分のお家の宗派のやり方を覚えてお焼香をしてください。
お焼香のやり方
ここでは浄土真宗本願寺派のお焼香の仕方(立って行う場合)を書きます。
- 焼香卓の手前で立ち止まって一礼したあと、左足から卓の前に進みます。
- 右手で香盒(こうごう:香を入れる器)のふたをとり、
香盒(こうごう)の右側の縁に掛けます。 - 右手で抹香(まっこう:お焼香に使う香)を1回だけつまみ、そのまま香炉に入れます。
額におしいただかずにそのまま香炉に入れてください。 - 香盒(こうごう)のふたを元通りに閉じます。
- 合掌して「南無阿弥陀仏」とお念仏を声にだしてとなえてから
礼拝(らいはい:拝む)します。 - 右足から後退し立ち止まって一礼したあと、退きます。
香盒(こうごう)のふたがはじめから取り外されている場合があります。
その場合、②・④は不要です。
焼香者があとに続く場合は④は不要ですが、最後の焼香者が香盒のふたを閉じます。
葬儀場などの場合はこのやり方が多いと思います。
お焼香の形式
お焼香には3つの形式があります。
立礼(りつれい)焼香
椅子の席が用意されている式場などでは一般的に立礼焼香になります。
一度席から立ってお焼香をおこなう形式で、葬儀場はほとんどこの形式になると思います。
焼香台が設置されているので、自身の順番が回ってきたら席から立ち上がって焼香台へ向かい、
その場で立ったままお焼香します。
席を立つタイミングは葬儀場のスタッフの方が指示してくださいます。
- スタッフより声が掛かってから焼香台の前に進み、遺族に一礼します。
- 祭壇上の遺影を見て再度一礼します。
- 宗派に応じた焼香作法に則り、抹香(まっこう)を右手でつまみます。
- 香炉の中へ抹香を落とします(宗派により1回〜3回)。
- 改めて祭壇上の遺影に向かって一礼します。
- 最後に遺族へ一礼をしてから自身の席へと戻ります。
座礼(ざれい)焼香
座った状態でのお焼香をおこなう形式です。
自宅や寺院の和室などでの葬儀や法要を行う場合などに用いられます。
僧侶が着座している後ろに低めの焼香台が設定されています。
順番が回ってきたら移動して焼香台へ向かい、その場で座ったままお焼香をします。
- 焼香の順番が来てから中腰の姿勢で正面へと進みます。
- 焼香台の手前に座り、遺族に一礼します。
- 祭壇上の遺影に向かって一礼します。
- 宗派に応じた焼香作法に則り、抹香(まっこう)を右手でつまみます。
- 香炉の中へ抹香を落とします(宗派により1回〜3回)。
- 改めて祭壇上の遺影に向かって一礼します。
- 焼香台前から下がり、遺族に一礼してから席に戻ります。
座礼焼香の場合、順番が来るまで正座していることが多いのですが、
足がしびれて動けなくなってしまい、無理をして動こうとして転倒し
けがをすることがあります。
ひどいとアキレス腱を切った方もいらっしゃいます。
順番が来る少し前に足をほぐしてしびれを取っておきましょう。
絶対に足がしびれたまま無理をして歩いてはいけません。
まわし焼香
まわし焼香は着席した参列者の席に香炉を廻し、順次お焼香していただく形式です。
自宅や寺院の和室などでの葬儀や法要を行う場合などに用いられます
お焼香用の香炉と抹香が一緒にお盆に乗せられた状態で順番に手元へ回ってきます。
隣の人から回ってきたら、その場で軽く会釈しながら両手で受け取るようにしましょう。
お焼香を終えた後は、また次の方へ香炉と抹香をセットでお渡しをします。
- 手元に香炉が回ってきたら、軽く会釈をしてから両手で受け取ります。
- 香炉を自分の目の前に置き、祭壇上の遺影に向かって合掌します。
- 宗派に応じた焼香作法に則り、抹香(まっこう)を右手でつまみます。
- 香炉の中へ抹香を落とします(宗派により1回〜3回)。
- その場で合掌してから、再度祭壇上の遺影に一礼します。
- お隣に座っている方に香炉を回します。
3回つまむ?
焼香をしている場面で、お香を3回つまんで額におしいただいている方をよく見かけます。
お香をつまむ回数や額におしいただくのか、悩むところだと思います。
私も寺嫁になるまで知らのですがのですが
実は、焼香でお香をつまむ回数は宗派によって違います。
また、お香をつまんで額にいただくのも宗派によって違います。
主な宗派についてあげてみます。
宗派別にご説明します。
浄土真宗
浄土真宗本願寺派(お西): 抹香を額におしいただかず、そのまま1回焼香します。
真宗大谷派(お東): 抹香を額におしいただかず、そのまま2回焼香します。
真言宗
抹香を額の高さに掲げておしいただき、3回焼香します。
浄土宗
抹香を額の高さに掲げておしいただき、1〜3回焼香します。
日蓮宗
抹香を額の高さに掲げておしいただき、1〜3回焼香します。
臨済宗
1回目は抹香を額の高さに掲げておしいただき、2回目はそのままの状態で焼香します。
曹洞宗
1回目は抹香を額の高さに掲げておしいただき、2回目はそのままの状態で焼香します。
天台宗
抹香を額の高さに掲げておしいただき、3回焼香します。
各宗派のお焼香のやり方を覚えておく必要はなく、
どの宗派の葬儀や法要でも、ご自分のお家の宗派のやり方でお焼香してください。
ただ、参列者が多く時間のかかりそうな場合などで「焼香1回でお願いします。」とか
指定がある場合はその回数で行ってください。
また、お香をつまんで香炉にいれる際は丁寧に入れてくださいね。
焼香の意味は?
仏前に香を供えることを供香(ぐこう)といい、焼香はその一つです。
沈香(じんこう)や五種香〈沈香、白檀、甘松(かんしょう)、丁子(ちょうじ)、桂皮(けいひ)などの香料を適宜にブレンドしたものを炭火で焚くことをいいます。
浄土真宗の場合は、焼香は、阿弥陀如来へのお敬いのこころを、
お香をお供えし合掌・礼拝(らいはい)するという作法に表したものです。
阿弥陀如来の浄土は妙なる香で満たされており、その世界を表現するためにお香を薫じます。
よい香りをお供えいたし、自分の身に香りを薫じ、心を落ち着かせてお参りする意味もあります。
宗派によってはよい香りをお供えすることは亡き方への供養としての意味合いもあります。
合掌忘れたらどうする?
お焼香はやり慣れていない方が多いので
「合掌するのを忘れた」とか「つまむ回数を間違えた」など
失敗して恥ずかしかったと聞くことがあります。
でも、あまり気にしないでください。
お焼香して、故人にお別れをしていらっしゃるので、大丈夫です。
また、つまむ回数を間違えても周りは案外気づきません。
先程説明したとおり宗派によってつまむ回数が違うのでわからないです。
だからやり直す必要はありません。
かえって不自然になります。
もし間違えてしまったら・・・お焼香の仕方を覚えて、
次回はしっかりできるようにしましょう。
いかがでしたか?
ある程度の年齢になると、お焼香をする機会も増えてきます。
お通夜や葬儀会場にいって、お焼香のやり方でキョロキョロするより
ご自分の宗派のお焼香のやり方を覚えて落ち着いてお焼香をしていただきたいものです。
うちのお寺でも、本堂で法事を行う際や門信徒さんのお宅での法要では
お焼香の仕方を説明しています。
地方によってはお焼香の際に「焼香銭(しょうこうせん)」を
焼香盆(しょうこうぼん:焼香の道具が乗ったお盆)に入れるとこともあります。
その場合は、お賽銭のような小銭を用意しておくとよいでしょう。
お焼香は亡き方を思い、また阿弥陀如来への感謝の気持ちを込めて
丁寧にしていただきたいと思います。
こんな記事もあります。
お読みいただきありがとうございました。
南無阿弥陀仏
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