お坊さんの髪型は坊主頭じゃないの?剃らなくていいの?寺嫁が簡単に解説

仏教豆知識

こんにちは!お寺ジェンヌです。

お坊さんの髪型っていうと「坊主頭(ぼうずあたま)」を
思い浮かべますよね。
でも、「この人、お坊さんなのに髪がある」って
不思議に思ったことのある方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

僧侶は髪を剃らなければいけないのではないかって
思っていませんか?
お寺ジェンヌも結婚前はそう思っていました。
でも、その頃も実家に来ていただいていたお坊さんは
髪の毛がありました。
うちの住職も髪の毛はあります。
だから普段着のだとフツーのおじさんにしか見えません。
そして、私も浄土真宗本願寺派の僧侶ですが、
有髪(うはつ:僧侶や尼が髪をのばしたままにしている人)です。

そこで、今日は
「お坊さんの髪型は坊主頭じゃないの?剃らなくていいの?」について
寺嫁が簡単に解説してみたいと思います。

なぜお坊さんは坊主頭なの?

お釈迦さまが出家の際に剃髪(ていはつ)したから

仏教の開祖といえばお釈迦(しゃか)さまですが、
お釈迦さまが出家を決意して、王である父の居城を
ひそかに抜けだし、従者のチュンダと別れるときに、
自身の髪をバッサリと切り落とし、修行の旅に出たのだそうです。

僧侶が剃髪(ていはつ)をするのは、お釈迦さまが出家、修行の際に
剃髪したことに由来しています。
髪を剃ることで、今までの自分を捨て仏門に入り、
身も心もきよらかになって悟りをひらき、
ひとをも救おうという崇高な願いがこめられているのです。

髪の毛は修行の妨げになるから

髪を伸ばすと修行の妨げになるという考えがあります。
仏教の最終目標は俗世間の苦しみや煩悩から解放されることです。
髪は放っておいても生えてくるので、
消そうとしても消せない煩悩(ぼんのう)の象徴(しょうちょう)でした。
剃髪をすることは煩悩を打ち消すことの第一歩だと考えられていたようです。
確かに、髪の毛が生えていると髪型が気になり1日気分のわるいこともありますし、
薄毛などで悩むこともあります。

髪の毛は修行するのに邪魔になるので
煩悩を断ち切るために髪の毛を剃っていたという訳です。

「坊主頭」の「坊主(ぼうず)」は、
もともとお寺の住職のことを指していたそうですが、
次第にお坊さん全体を「坊主」というようになったようです。
それで、お坊さんが剃髪した頭を「坊主頭」と呼ぶようになったようです。

なぜ剃っていないお坊さんがいるの?剃らなくていいの?

剃髪するかは宗旨(しゅうし)によってちがう?

他の宗旨のことは知らないので調べてみましたが、
剃髪するのは宗旨によるようです。

真言宗の僧侶は修行時と数年に1度の大事な儀式は
剃髪にするそうです。
剃髪にする理由は、「こだわりを捨てた」ことを表すからだそうです。

禅宗(臨済宗、曹洞宗など)の僧侶は
毎月4と9のつく日に剃髪するそうです。
理由は、『上堂(じょうどう)』と呼ばれる、偉いお坊さんの
お話を毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日に聴くからだそうです。
剃髪の理由は『上堂(じょうどう)』の前日に
身を清めるという意味からのようです。

どちらの宗派も義務という訳ではないようですが
剃髪をする機会が多いので、
普段から剃っている僧侶が多いようです。

浄土真宗のお坊さんは坊主頭じゃなくてOK

浄土真宗の僧侶は有髪(うはつ)の方が多いです。
私は浄土真宗(じょうどしんしゅう)本願寺派(ほんがんじは)の僧侶です。
もちろん、私も髪は有ります。
なぜなのでしょうか?

その理由は浄土真宗の開祖(かいそ)、親鸞聖人(しんらんしょうにん)が
ご自身のことを「非僧非俗(ひそうひぞく)」と仰ったことからです。

親鸞聖人は承元の法難(じょうげんのほうなん)で
恩師の法然上人(ほうねんしょうにん)と共に
国家による弾圧を受け還俗(げんぞく:僧侶や尼僧が再び俗人に戻ること)させられ
親鸞聖人は越後(えちご:現在の新潟県)へ流罪となりました。

このことをきっかけに親鸞聖人は自らを
「非僧非俗
(ひそうひぞく)」とおっしゃいました。
非僧非俗(ひぞうひぞく)とは
一般的な僧侶でもなく、俗人でもない、
念仏者(ねんぶつしゃ)という位置付けで、
『出家(しゅっけ)』ではなく、家庭を持ち、
生ものも食べる『在家(ざいけ)』のお立場をとられました。
そのため僧侶の証である剃髪
(ていはつ)は
必須ではなくなったのです

それを受け継いで浄土真宗の僧侶は有髪の方が多いです。

とは言え、浄土真宗のお坊さんも一度は剃髪する

とはいうものの、浄土真宗の男性僧侶は1度だけ剃髪を経験しています。
それは、得度式(とくどしき)で僧侶になる儀式を受けるときです。
浄土真宗本願寺派の場合、得度習礼(とくどしゅらい)という
僧侶としての基本的な知識と作法を学ぶための研修を受け
その期間の最後に得度式(とくどしき)を受けます。
その時、仏弟子(ぶつでし)になるためご門主からお剃刀を受けますが、
儀式はでは剃刀を3回頭に当てるだけで実際にはその場では剃髪しません。
前日に床屋さんに来ていただき剃刀でキレイに髪を剃っていただきます。
そのため、男性は得度習礼に行く前に剃髪しやすいよう丸刈りにします。

ちなみ女性は希望者は剃髪しますが、
得度式でも有髪を許可されています。
これは女性が社会生活を送るのに男性より髪に関して
気になることが多くあるからではないかと
個人的に考えています。

女性の場合は得度習礼の期間中、
髪が邪魔にならないように
長い人は後ろで束ねてネットでお団子にし、
前髪はピンなどで
動かないように固定しなければなりません。

女性は得度式の前日に顔を剃っていただきます。
私も顔を剃っていただきました。

という訳で浄土真宗の僧侶は有髪なのです。
ただ、剃髪している方もいらっしゃいますが
個人の好みの問題になります。
宗派によっては得度式の前でも
剃髪しないところもあるそうです。

剃髪して大変なことって?

うちの住職も剃髪の経験があるので
大変だと思ったことを聞いてみました。

うちの住職はいわゆる「ぜっぺき」頭です。
剃髪すると頭の間の形がはっきりわかるので嫌だったそうです。

また、頭にニキビやおできがあると
カミソリて剃っていただいたときにニキビが切れて
血が出る方もいるようです。

夏は直射日光が頭皮に直に当たるので
暑いそうです。
冬に剃髪した住職のお友だちは
頭が寒いと言っていたそうです。

剃髪をしてから髪が伸びるまでが恥ずかしかった
とも言っていました。
帽子をかぶっていましたが、帽子も似合わないので
髪を整えられるようになるまでは憂鬱(ゆううつ)だったそうです。

でも今は、加齢で髪が少なくなったら剃髪するとは言っています。
その方が「僧侶らしく見えるかもね!」だそうです。

いかがでしたか?
今日は「お坊さんの髪型は坊主頭じゃないの?剃らなくていいの?」という
ことについて寺嫁の私が解説してみました。

お読みいただき、ありがとうございます。
南無阿弥陀仏

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