京都にある西本願寺は浄土真宗本願寺派の本山です。
浄土真宗本願寺派のご門徒さん、僧侶にとっては
大切な寺院です。
しかし、西本願寺には観光地としての顔もあります。
歴史的にも貴重な建物などが多くあります。
修学旅行で訪れたことのあり方も多いと思います。
今頃は境内にあるい大銀杏(京都市の天然記念物に指定)がきれいに
色づいているころでしょう。
そこで、今回は観光地としての西本願寺の見どころについて調べてみました。
西本願寺とは?
概要
浄土真宗本願寺派の本山
鎌倉時代後期の1272年に宗祖(しゅうそ:宗派を開いた人)親鸞聖人(しんらんしょうにん)の
末娘、覚信尼(かくしんに)さまが京都東山大谷に親鸞聖人の遺骨を改葬し、
六角の廟堂を建立し、遺骨を移しました。
ここに親鸞聖人の影像を安置したのが大谷廟堂(おおたにびょうどう)で、
これが本願寺の起源です。
第3代覚如上人(かくにょしょうにん)のときに寺号を本願寺(ほんがんじ)としました。
中興の祖(ちゅうこうのそ)、第8代蓮如上人(れんにょしょうにん)が大教団に発展させました。
しかし、大教団になったことで
他宗から破却(はきゃく:原形をとどめないように、すっかりこわすこと)され、
本願寺の寺地は大阪、和歌山などを転々とします。
1591年に豊臣秀吉が寺地を寄進し、現在の場所に移ります。
1602年に徳川家康から寺地の寄進を受けた教如上人(きょうにょしょうにん)が
東本願寺を建立したことにより、本願寺は東西に分かれました。
そして現在に至ります。
そのあたりの経緯はこちらをご覧ください。
西本願寺が世界遺産の理由
1994年に西本願寺は『古都京都の文化財』として
ユネスコの世界遺産に登録されました。
『古都京都の文化財』には16社寺、1城が登録されましたが、
その中に西本願寺が入っています。
16社寺、1城は次のとおりです。
1.賀茂別雷神社(上加茂神社)
2.賀茂御祖神社(下鴨神社)
3教王護国寺(東寺)
4.清水寺
5.延暦寺
6.醍醐寺
7.仁和寺
8.平等院
9.宇治上神社
10.高山寺
11.天龍寺
12.龍安寺
13.本願寺
14.元離宮二条城
15.鹿苑寺(金閣寺)
16.慈照寺(銀閣寺)
17.西芳寺(苔寺)
京都が世界遺産に選定された理由は、
平安時代から江戸時代までの各時代を代表する建築様式、庭園様式がのこされていて、
その文化的背景を現代に伝え
建築、造園、都市計画の発展に大きく寄付したことが挙げられるそうです。
16社寺、1城の世界遺産が個別に登録されているわけでなく、
全部まとめて「古都京都の文化財」として登録されました。
これは、京都は世界遺産に該当する建造物が多く、
京都市、宇治市、大津市を含む地域全体を「古都・京都」と捉え、
その代表として16社寺、1城が選ばれたそうです。
西本願寺は代表として世界遺産となったんですね。
京都には沢山の寺社仏閣があります。
そんな中でうちの宗派、浄土真宗本願寺派の本山、西本願寺が
世界遺産に登録されていることは嬉しいです。
私も何回か西本願寺をお参りしていますが、
歴史の舞台となってきた建物が多くあり、
いつも見学の時間が足りなくなってしまいます。
国宝の数々を紹介!
西本願寺には国宝が沢山ありますので、ご紹介しますね。
御影堂(ごえいどう)
中央に親鸞聖人の木像、
両余間(よま)には十字名号(じゅうじみょうごう:
九字名号(くじみょうごう:南無不可思議光如来)
阿弥陀堂(あみだどう)
こちらも東西42メートル、南北45メートル、高さ25メートルの大きな建物です。
中央に阿弥陀如来の木像、両脇にインド・中国・日本の七高僧(しちこうそう)の内、
龍樹菩薩(りゅうじゅぼさつ)・天親菩薩(てんじんぼさつ)・曇鸞大師(どんらんだいし)・
道綽禅師(どうしゃくぜんじ)・善導大師(ぜんどうだいし)・源信和尚(げんしんかしょう)
の六師を安置されています。
また、両余間に法然聖人(ほうねんしょうにん)と聖徳太子(しょうとくたいし)の
影像が安置されています。
本願寺の境内には御影堂と阿弥陀堂が2つ並んでいますが
どちらも重厚感がある建物です。
瓦がとても美しく並んでいて私の大好きな景色です。
対面所 鴻(こう)の間
西本願寺の書院では一番規模の大きい広間です。
ご門主との対面に使われたところからこの「対面所」という名があります。
上段正面の欄間(らんま)に雲間を飛ぶ鴻(こう)の透かし彫りが由来で、
「鴻(こう)の間」とも呼ばれています。
対面所の構成は上段と下段からなり、
下段は一六二畳敷の広大な座敷です。
二列の柱で三つに分けられています。
上段中央には間口の広い床、左端に帳台構、
右端の上々段に違棚、付書院を配して、
正面に一列に並べているのは御堂の形式を模しているそうで
本願寺独特の意匠といわれているそうです。
余談ですが、私が得度式を受けた後、この「鴻(こう)の間」で
お祝い膳をいただきました。
赤い漆のお膳に赤い漆の器に盛り付けられていましたが、
得度の後ということ、国宝の建て物での食事で
緊張して味は覚えていません。
白書院
白書院は、対面所(鴻の間)の大広間に対して小広間とも呼ばれ、
ご門主の対面の儀式や賓客の接待などに使われていたそうです。
紫明の間を主室とし、二の間、三の間(孔雀の間)が並んでいます。
この主室と二の間には極彩色で描かれた帝鑑図、三の間は樹木と孔雀を
中心とした金碧花鳥図が配されています。
三の間は、室内能舞台にもなるそうです。
黒書院
堅苦しい書院造りではなく数寄屋風に造られています。
主室の一の間や二の間、
水墨画が描かれています。
北能舞台
本願寺には常設の能舞台が書院の南北に
二つありますが北能舞台が国宝です。
懸魚(げぎょ)に天正九年(1581年)の銘があったそうで、
現存する最古の能舞台だそうです。
白書院が見所(けんじょ:見物席)です。
正面が入母屋造りの簡素な能舞台で古式を感じさせるそうです。
飛雲閣(ひうんかく)
境内の東南隅にある名勝 滴翠園(てきすいえん)の池に
建設された楼閣建築です。
全体的に柱が細く障子の多いので、
空に浮かぶ雲に似ていることから、
飛雲閣と名づけられたといわれています。
庭園と一体の、日本を代表する建築の一つです。
普段は非公開ですが、2023年11月12日〜21日は
特別公開されています。
この機会にぜひご覧ください。
唐門(からもん)
桃山時代の豪華な装飾彫刻が施された門です。
彫刻の見事さに日の暮れるのを忘れることから
「日暮らし門」とも呼ばれている門です。
色鮮やかで綺羅びやかな大きな門です。
京都にいかれたらぜひ見ていただきたい
私のイチオシです!
親鸞聖人影像 鏡御影(かがみのごえい)
親鸞聖人を墨線のみで見事に写し出した鏡御影は、
鎌倉時代の似絵の最高傑作のひとつです。
筆者は、似絵の大成者・藤原信実の子専阿弥陀仏。
三十六人家集(37帖)
集めた家集のなかで、最も古い完備に近い写本だそうです。
他に類例のない優雅華麗な平安文化の極致といわれ、
王朝文化の精粋を今日に伝える大変貴重な家集です。
京都の代表として世界遺産に登録されるのも当然かもしれません。
それにしても、戦国時代から現在までこんなに沢山の
国宝となる建造物などが残っているとは!
京都で本願寺に関係する方々が大事大切に
守ってきてくださったのだと思います。修復も行われています。
文化財指定建造物修復工事が行われ、
2022年3月31日を持って全ての修復工事が完了したそうです。
西本願寺に関する記事は他にもあります。
西本願寺と東本願寺の違いについての記事
ぜひご覧ください。
お読みいただきありがとうございました。
南無阿弥陀仏
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